Point
ヌーヴェル赤羽台団地8号棟は、昭和37年竣工の赤羽台団地の第3期に当たる建替計画であるD街区に含まれます。4棟498戸からなるクラスターを構成するD街区は、先工区(A~C街区)と合わせて周辺景観を構成する連続した壁面の一部を担います。そのなかで8号棟は、先行建替街区からコミュニティ、環境、デザインを引継ぎ、9~11号棟へと繋ぐ役割を担う住棟です。正対する先行街区(C街区)とつながる1階のピロティは、団地全体をめぐる回遊動線をつくる通り抜けとなっています。街区の顔となるバルコニー面のファサードは、ヌーヴェル赤羽台の特徴的なモチーフである市松模様をRC手摺とアルミパンチング手摺で表現し、従前の建物高さ(5階)で切替えるという操作によって、団地の記憶を継承することを試みています。また、団地の玄関口となる大階段広場の先に目に飛び込むアルミルーバーで面を構成した住棟妻面は、保存したケヤキの木漏れ日のゆらぎを映し出すスクリーンとなり、D街区を象徴する豊かな情景を生み出しています。