Point
「女川湾をどこからでも望める」という女川町の復興まちづくりデザインのコンセプトを体現するように、女川湾をのぞむ眺望軸を中心にした配置計画が特徴となっています。眺望軸に寄り添うように並ぶ住棟は、傾斜する敷地形状と相まって、かつての山並みを感じられる景観を生み出しています。大原住宅を計画する上では、居住者の交流場所のつくり方に重点を置いています。震災前の女川町は、漁師町特有の小さな路地が入り組む界隈がありました。そのような環境で日常的に生まれていた井戸端を集合住宅で生み出すために必要な場所づくりという課題への解法として、共用廊下に設けたみんなのテラスやエントランスのベンチスペースに加え、別棟として敷地の中央に誰でも利用できる「コミュニティボックス」という交流施設を配置しています。この施設は、町民バスの待合スペースとして、移動販売車の停車拠点となり、居住者や近隣住民に加え下校途中の小学生などが集まる賑やかな交流の場となっています。