Point
UR都市機構が所有する住宅ストックは、建替えだけではなく住棟単位での改修方法に対する技術的な検証が実践されています。本計画も、その流れに類するもので、今後の団地再生の可能性を広げるための実験的なプロジェクトであり、住宅として整備するわけではなく、撤去が決定した建物を活用した実験的な計画です。対象になった171号棟は、「減築やアクセス改修によるイメージの刷新」をテーマに、既存の4階建て、階段室型の住棟を減築する際の技術的な検証を目的に検討しています。実験の内容は、最上階の4戸を撤去し、ウッドデッキの屋上テラスに転換し、建物ボリュームを抑え、周辺に馴染む、ヒューマンスケールな住棟を形成するという試みです。ここでは、アクセスを向上するために階段室を撤去した上で、EVからのアプローチを想定し、エントランス・外廊下・階段室を一部撤去して外廊下を設けるというプロセスを実践しています。加えて、エントランスを新設して動線を集約したスムーズな住戸へアプローチ形成を検討しています。加えて、4つのテーマを設定した住戸タイプを想定し、既存躯体を活かしながら、スラブを一部新設または撤去する等の操作により、1.5層の住宅や広がりのあるバルコニーを設ける等の検証が実践されました。このような実践的な実験は、その後の新築や改修業務において、現実的な問題や新しい可能性を理解する上で非常に有効な機会となりました。