Point
運動公園住宅は、女川町の新たな町づくりのリーディングプロジェクトであり、200戸の災害公営住宅で、「1日も早い生活基盤の再建」、「生活の質の確保」、「コミュニティの醸成」というまちづくりのコンセプトを体現する復興の足掛かりとなった計画です。震災前には戸建住宅で暮らしていた居住者に配慮し、住棟は低層で連棟構成を採用し、水平方向の移動が中心になる居住者の負担が少ない立体住区を構築しました。また、住戸には玄関や水回りに積極的に開口部を設け、集合住宅にありがちな閉塞感をできる限り解消する工夫をちりばめています。このような発想は、復興住宅としての意味付けのなかで、早急な居住環境の整備に加えて、将来的にも永く住み続けられるようにという思いから生まれています。女川の復興の旗印となったこの住宅には、「みんなの道」と呼ばれる女川湾へ続く通り道を整備しています。エントランスやピロティを介しながら女川湾へ開ける眺望ポイントへ抜ける「みんなの道」は、居住者の日常動線であると同時に、「海と共に生きる」という女川の復興まちづくりの精神が反映されたものです。